atelier*

「 日田 」

- Jun 7, 2022

河鹿蛙の唄声が、夜の三隈川から昇ってくる。

日田に到着した夜、螢を見に山へ行きました。
静かな瞬きのような点滅、百ほどの螢が一斉に、同じリズムで光の強弱をしている、まるで呼吸のよう。息を吸うと、螢が光って、息を吐くと、見えなくなる。その、息を吐いた暗がりに、現れる気配があった、私の中に棲んでいる濃密な何か。息を吸う、螢が光る、気配は薄まる。息を吐く、暗がりが生まれる、気配がやってくる。私の中に棲んでいる、私?の、中?、って、どこだろう。
旅客機が空を横断すると、山の窪みに轟音が降ってきた。

川が流れている。止まることなく、昼も夜明けも。

”Windswept Adan” concert at Bunkamura Orchard Hallの上映と、ちょっとそこまでツアー演奏会を、日田の映画館リベルテさんで行いました。昨年の夏至に行ったコンサート、こつこつとゆっくり編集を進め、完成の暁にはきっとリベルテさんで…と願っていたこと、実現してとてもうれしい。映写室から、お客さんの後ろ姿をみて、胸がいっぱいになりました。ざあざあと雨が降って、上映前から海の物語を演出してくれているよう。ここへ来る途中に見えた、田植えされたばかりの稲も、きっと雨に打たれていたね。

新しい命をくるんでいるお腹をさわらせてもらった、
手のひらに、とん、と命がふれる感触があった。
動いているってうれしい、
ふと、先日、母との別れ際に話したこと「あんなに一緒だったのに、今は別々に生きていて、食べるのも出すのも、それぞれなの、不思議ね」思い出す。

 

奄美で書いたはずの歌が、ここで歌うと日田の歌になる。
七拍子の始まり、
「水鏡に映る 隣り合う世界」
私、の中、棲んでいる、どれも考え出すとわからなくなるけれど、確かに感じている。私の中に棲んでいる。なにが?

逢う人逢う人が、うつくしくて眩しくて
奇跡みたいなことを次々と言っている。
その側で、生きている、生きていて、いいの?、驚く。

ざあ、

川の音。水がきれいなんだ。

 

生きているうちに、あとどれくらい、私は点滅する?


4am